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【比較】ショパンのおすすめ楽譜「選び方の解説あり」

こんにちは。

ショパンの楽譜ってどれを選べば良いの?オススメの楽譜ってある?出版社によっての違いを知りたいです…

 

こういった方の参考にしていただける記事になっています。

 

本記事の作成にあたり、

ショパンの楽譜、どの版を選べば良いの?

こちらの著書「ショパンの楽譜、どの版を選べばいいの?」で勉強しつつ、現在手に入るショパンの楽譜を全て手に入れつつ、比較してみました。

別記事  »  著書「ショパンの楽譜、どの版を選べばいいの?」をレビュー

 

結論を言ってしまうと、ショパンのオススメ楽譜は「エキエル版、パデレフスキ版、コルトー版、全音版、」の4つ。

(楽譜情報は、変化があるものだけど、本記事は2024年の1月にリライトしています。)

では具体的に!

 

もくじ

現在出版されているショパンの楽譜の一覧

 

まず全ての楽譜をピックアップしました。

原典版(作曲家が書いたままの楽譜)から。

  • エキエル版(おすすめ)
  • ウィーン原典版
  • ヘンレ版
  • ペータース版
  • ベーレンライター版

続いて校訂版(後世の人が注釈などを加えている楽譜)を。

この中で、実際に世間で一般的に使われている楽譜は、

  • エキエル版(ショパンコンクールで使用されている)
  • パデレフスキ版(長年スタンダードが楽譜として使用されている)
  • ウィーン原典版(自筆譜に忠実な楽譜として使われている)
  • コルトー版(大ピアニストの残した遺産)
  • 全音版(初心者の方で使っている方が多い)

この5つ。

「あれ、ヘンレ版は?」というと「??」な音がたくさん混じっていて、ショパンのCDを残した方でもこの楽譜の音で演奏している人を一人も見たことはないです。(主に研究で使われたり、一部分の参考程度に使われている印象です)

なので、世界的にも信頼性の高いヘンレ版だけど、ショパンの楽譜に関してヘンレ版を除いています。

 

【選び方】ショパンのおすすめ楽譜【それぞれの特徴を比較】

 

その1:エキエル版「ショパンコンクールで使われる信頼性」

エキエル版

ショパンコンクールでも推奨されている楽譜として有名な楽譜。

2005年ごろに登場し、2010年のショパンコンクールで優勝したユリアンナ・アヴデーエワさんは、すべてこの楽譜の解釈で演奏したことは有名な話です。

当時は「あれ、変な音じゃない?」とか、ソナタの第2番の冒頭の繰り返しの場所が違うことが気になったけど、さすがに2024年現在ほとんど違和感を感じなくなってきた印象です。

 

本当にショパンコンクールで使用しているの?

2021年のショパンコンクールを聴くと、エキエル版をまったく使わずに演奏している方はゼロだと思います。

例外ももちろんあって、第2位に受賞したアレクサンダー・ガジェブさんがバラードの第4番を演奏していたとき、一部分のタイの掛け方がパデレフスキ版になっているのを発見しました。

ちなみにガジェブさんのバラ4はとにかく名演でした!

» 1次予選で演奏しています。(YouTube:ショパンコンクールのライブ)

 

日本語版と英語版「英語版でもOK!」

エキエル版は、日本語版と英語版の両方が出版されています。

両方使った感想としては「日本語版に越したことはないけど、英語版でも大丈夫」という感じでした。(英語はめちゃくちゃ苦手…)

大丈夫な理由としては「英語が読めなくても理解できる」ということと「さほど重要なことが書かれていない」ということ。

とはいえエキエル版の日本語エディションは、少しずつ増えてますね。

最近では、エチュード(練習曲)の日本語版が、2022年に発売されました。

 

白と茶色、何が違うの?

エキエル版には、こんな白い楽譜もあります!

「あれ茶色じゃなくて怪しい…」ということはなく、ちゃんとしたエキエル版。

なぜ白いのかと言うと、ショパンが亡くなってから発表された曲だから。

つまり生前に発表された曲の楽譜は、茶色。こんな違いです。

 

エキエル版がスタンダードになっていく未来

もともとショパンの楽譜と言えば、パデレフスキ版がスタンダードな楽譜でした。

2010年ごろからは、アヴデーエワさんの影響もあって、どんどんエキエル版を使う人が増えていますね。

日本にもショパンコンクールin Asiaがあるし、今ショパンの楽譜を買うならエキエル版でも良いと思います。

 

ショパン:エキエル版のページ

注意点:エキエル版は、なぜか楽天市場だと価格が高い場合が多いです。Amazonと比較しつつの購入をオススメします。

 

その2:パデレフスキ版「今でもスタンダード」

長いことショパンのスタンダードだった楽譜。

20歳以上の方でピアノをやっている方なら、なじみのある音は間違いなくパデレフスキ版。

ショパンの有名な録音がたくさんあるけど、たいていがこのパデレフスキ版をもとに演奏されてますね。

例えばクリスティアン・ツィメルマンの伝説的な録音。これはパデレフスキ版を基本的に使用しています。

» YouTubeで聴くことが可能

過去の偉大なピアニストの録音に耳が慣れていたら、一番しっくり来るのはこのパデレフスキ版だと思います。

ソナタの第2番の繰り返しがエキエル版になっている録音なんて、ほとんどありませんからね。

エキエル版がどんなに人気の楽譜になっていっても、必ず残り続ける楽譜だと思います。

 

ラファウ・ブレハッチは語る

ブレハッチは、2005年のショパンコンクールで1位をとったポーランドを代表するピアニストです。

ピアノの名著「現代の世界的ピアニストたちとの対話」の中でブレハッチは、

「パデレフスキ版が子供の頃から使っていたので、好き。しかしエキエル版と両方使う。

2つの版を勉強することは重要」

と語っています。

ちなみに「現代の世界的ピアニストたちとの対話」のシリーズは、ピアノが好きだったり音大に通っているなら、かなりオススメなシリーズ。

趣味でピアノをやるのにはエキエル版だけで大丈夫だけど、もし専門的にピアノをやるならエキエル版とパデレフスキ版の両方使って比較することがマストになってきていると思います。

 

ショパン:パデレフスキ版のページ

 

その3:コルトー版「大ピアニストのエッセンス」

大ピアニスト、アルフレッド・コルトーによって校訂された、とにかく有名な楽譜です。

この楽譜の魅力は、なんといってもコルトーの練習方法が記載されているところ。

そのほかにも、コルトーが愛用した指遣いも書かれていて「今まで弾けなかったところが、コルトーの指づかいにしたら弾けた!」

なんてこともあるはず。

自分の経験で言うと、大学受験の少し前に「木枯らしのエチュード 」を練習していて、このコルトー版の指づかいを参考にしたところ飛躍的に上達することができました。

また大ピアニスト、コルトーについて詳しくは別記事【アルフレッド・コルトーの魅力】の中で解説しています。

 

コルトー版を買うなら練習曲(エチュード )

コルトー版のデメリットとしては、校訂そのもののクオリティは決して高くないと言われているところ。

つまり、この楽譜の魅力は、コルトーの練習方法と指づかいにある、といえそうです。

総合的に考えて、コルトー版を検討するならエチュードの楽譜を試してみてからがベストだと思います!

 

その4:ウィーン原典版

ショパンでウィーン原典版を使う人はかなり少ないけど、それでも原典版としての地位を確立していました。

ツィメルマンの師匠である、アンジェイ・ヤシンスキ先生のレッスンを見学したことがあるけど、

マズルカを練習している女の子に対して「原典版は見たことがありますか?」と尋ねていたのは、かなり印象的でした。

確かにマズルカの中には、パデレフスキ版を参考にすると長すぎると感じるところもあって、そんな時に役に立つのは、このウィーン原典版。

とはいえ、現代ではエキエル版が原典版の役割りもしているので、購入するほどではないかな?

といった感じではあります。

 

その5:全音版「初心者には良いかも」

校訂の信頼性の面で、上記の楽譜たちには敵わないけど、趣味でピアノを練習している方の中で人気の楽譜ですので、ご紹介しておきます。

最大のメリットは「手に入りやすい」ことと「値段が安い」ということ。

上記でご紹介した楽譜が手に入らなかったり、値段が高かった時に検討してみると良い楽譜です。

ちなみにパデレフスキ版はそこそこ安く手に入るけど、エキエル版は値段が高いことが多いです。

またこの楽譜は、大きめの本屋や小さい楽譜店でも問題なく手に入ります。

 

ショパン:全音の楽譜のページ

 

なぜショパンの楽譜って出版社によって違うの?【理由は3つ】

理由 1. 3カ国から同時に出版された【フランス、ドイツ、イギリス】

ショパンの楽譜は、フランス初版、ドイツ初版、イギリス初版と呼ばれる3つ初版が存在します。

インターネットもない時代に、手書きの楽譜が3カ国同時に出版されたため、違いが生じてしまったわけです。

上記で紹介した楽譜は、この3つの楽譜を研究しつつまとめられたものです。

 

理由 2. ショパンがレッスン中に書き込んだ!

ショパンはレッスン中に「こうやって弾いてもいいよ!」的な感じに、楽譜を変更させることが度々あったと言われています。

多くはヴァリアントと呼ばれる変奏が多いけど、音を変えることもあったそうで、現代の出版社はかなり困っているわけです。

 

理由3. 校訂した人の勝手な書き込み(19世紀〜20世紀にかけて)

19世紀には、ピアノの世界では、自由な解釈の演奏が大流行していました。

中には、楽譜の音まで変えて出版してしまうような方もいて…そんなわけで、ショパンが書いていない音までが後世に残ってしまっているわけです。

良い意味で現代にも残っている19世紀的な楽譜で有名なものといえば、ベートーヴェンのピアノソナタのシュナーベル版や、バッハのムジェリーニ版あたりは有名です。

 

まとめ:ショパンのおすすめ楽譜「迷ったらエキエル版を!」

 

最後に大事なところだけをピックアップして終わりにします!

  • エキエル版:現代の定番。迷ったらオススメの楽譜
  • パデレフスキ版:歴代の有名CDと同じ音にしたいなら、この楽譜がオススメ
  • コルトー版:コルトーの練習方法や指づかいが最高。エチュード版から購入するのがオススメ
  • ウィーン原典版:今では研究者向けの楽譜に感じます
  • 全音版:手に入りやすい、価格が安いというメリットあり

それでは終わります。

ショパンの楽譜選びに迷った時に、参考にしていただけたら嬉しいです!

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