ベートーヴェンのピアノソナタのオススメ楽譜についてまとめてあるページです。
結論だけ書くと、全集を買う場合は「ヘンレ版」で、1曲だけ(月光だけなど)練習したい方には、全音のピースより「園田高弘版」がオススメです。
さらに趣味でサクッと楽譜を見たい場合は、ヤマハ「ぷりんと楽譜」が最安で便利です。
詳しく知りたい方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください!
ベートーヴェンのピアノソナタ「楽譜の選び方」と「買い方」
現在、存在しているベートーヴェンのピアノソナタの楽譜は、全部で下記のとおり。
- ヘンレ版
- ペータース版(アラウ版)
- ウィーン原典版
- シュナーベル版(クルチ版)
- ベーレンライター版
- 全音版
- 音楽の友社版
- 園田高弘版
- 井口基成版
- 全音のピース
- ヤマハ「ぷりんと楽譜」
迷ったらヘンレ版でOKです。
しかしベートーヴェンのピアノソナタは「ピアノの新約聖書」と呼ばれるほど名曲ですので、素晴らしい楽譜がたくさん存在します。
ここからは、具体的に「オススメ楽譜」について解説してみます。
ベートーヴェンのピアノソナタでおすすめの楽譜5選
5つの楽譜にしぼってご紹介します。この5つから選べば「買って後悔した…」ということはほぼないはず。
注意点
Amazonと楽天市場で価格差ある場合がありますので、両方チェックしてからの購入がオススメです。
1:ヘンレ版(原典版)
これは自筆譜をもとにした原典版。
ベートーヴェンのミスだけを修正して、あと忠実に再現した楽譜ということです。
世界中の音大やピアニストの中で最も使われているのは、間違いなくこのヘンレ版。
楽譜の信頼性、使いやすさなど、どれをとってもまず先に検討する価値のある楽譜です。
デメリットとして「趣味で月光だけ弾きたい」というような方には向かないです。
そういった方は「園田版」や「全音のピース」の方がコスパが良いです。
ヘンレ版(1巻は1~15番、2巻は16~32番ですのでご注意を!)
2:ペータース・アラウ版
こちらは、ペータース社が出版した楽譜で、大ピアニスト「クラウディオ・アラウ」が校訂をした楽譜です。
(クラウディオ・アラウはベートーヴェンのピアノソナタを歴史上、最もうまく演奏した一人と言っても過言ではない方)
基本的には、原典版に忠実でありながら、そんなアラウの運指が見れるところがこの楽譜の最大のメリットです。
それゆえピアノの専門家の方は、たいていこの楽譜を持ってますね。
とはいえ、初めてこのピアノソナタの購入を検討しているのでしたらあまりオススメはできません。
理由は、アラウという名人の運指ゆえに誰にでもあうものではないため。
普通に考えたら「ちょっとクセがあるな〜」と思うこともけっこう多めです。
音大受験レベルでしたらかなり参考になる楽譜かと思います。
ペータース版(1巻は1~15番、2巻は16~32番ですのでご注意を!)
3:ウィーン原典版
こちらもヘンレ版と同じく、信頼性の高い楽譜で使用している人の多いものです。
しかし運指が曲によって編集者が違うため、曲によってクオリティが変わると言うのがデメリットかと。
とはいえ、ヘンレ版より正確性と信頼性が高いとも言われているのも事実。
あとヘンレ版に比べたら、見やすさと使いやすさでは劣る印象で、さらにコスパでもヘンレ版に負けます。
迷ったらやはりヘンレ版の方が良いと思います。
4:全音楽出版
これは、日本で一番使われている楽譜。
上記の3つは世界中で使用している人がいますが、この楽譜はもちろん日本国内のみの販売。
この楽譜は、ベートーヴェンの研究者であった諸井三郎さんによって校訂されていますね。
諸井三郎さんのご子息で諸井誠さんも同じくベートーヴェンの研究者で、僕はこの諸井誠さんの講義を聞きに行ったことことがすごく感銘を受けたのを覚えています。
ちなみにもうお二人とも亡くなってしまっています。
価格の低さと、手に入りやすさでは素晴らしい。
しかし、これを買うならヘンレ版の方が、信頼性が高いし、高級感があるし、使いやすい印象ではあります。
5:春秋社 園田高弘版
これは、日本の大ピアニスト「園田高弘」さんによって校訂された楽譜です。
校訂版は賛否両論あるものが多いけど、この園田版は素晴らしい楽譜です。
理由としては、
- 1曲からでも購入可能
- ペダルの解説
- 運指の使いやすさ
とどれをとっても最高レベル。
そして日本人で最もベートーヴェンをうまく演奏したのは、もしかしたら園田高弘さんかもしれない…というのも信頼性の1つです。
「1曲だけ弾きたい」や「ヘンレ版」と併用したい、とこんな時に最高な1冊です。
音大の受験前やコンクール前に「ペダルを参考にする…」とこんな使い方も最高です…。
そして全音のピースを買うなら、間違いなくこの園田版を使った方が、初心者の方も使いやすいです。
6:ヤマハ ぷりんと楽譜
ヤマハのぷりんと楽譜の魅力は、最安でサクッと手に入れることのできるところ。
趣味でベートーヴェンのピアノソナタに取り組む場合、ヘンレ版などの専門的は不要ですね。
そんなときに便利なのが、ヤマハ「ぷりんと楽譜」。
普通にダウンロードするのも良いけど、下記のとおり
アプリで見放題のプランは、初月無料(いつでも解約OK)で、楽譜を見ることが可能です。
趣味でピアノをやっている方にヤマハ「ぷりんと楽譜」は、かなり重宝するサービスですね。
その他:ベートーヴェンのピアノソナタのオススメ楽譜
シュナーベル版
これは、19世紀生まれの大ピアニスト「シュナーベル」によって校訂された楽譜です。
それで現代で使えるか?と聞かれたら「参考にはなる‥そして面白い!」というのが答え‥笑
何しろテンポまでグルグルと変わるので、賛否両論がありまくりです‥。
しかし大ピアニスト「シュナーベル」の思考を学べる、という点では最高の楽譜です。
一般の方が普通に買ってオススメできるものではありませんのでご注意を。
楽譜ショップで見かけたら、ぜひ見てみてという感じです。
音楽の友社版
この音楽の友社版は、日本で全音版の次によく使われている楽譜です。
この楽譜の魅力は、芸大の教授である迫昭嘉先生によって運指が書かれてあることがポイントです。
実際、迫先生の演奏を聴いても素晴らしいですし、ボク自身、学生時代に室内楽のレッスンをしていただいたことがあります。
とはいえ「人にすすめるならまずはヘンレ版かな…」というのが正直なところ…。
もし迫先生が園田版のように「校訂」もされていたら、1番のオススメ楽譜になったかもです…。
しかし全音版の購入を検討している方は、ぜひ比較してみてください!
まとめ:ベートーヴェンのピアノソナタ「オススメ楽譜」
ベートーヴェンのピアノソナタの楽譜でオススメの5冊。
- ヘンレ版
- ペータース版(アラウ版)
- ウィーン原典版
- 全音版
- 園田高弘版
- ヤマハ「ぷりんと楽譜」
迷ったら「ヘンレ版」。1曲だけなら「園田版」とこれで間違いないはずです。
ヘンレ版(1巻は1~15番、2巻は16~32番ですのでご注意を!)
園田版(1曲ずつの購入が可能)
それでは、少しでも参考になれば幸いです!
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