ピアノの大天才ウラディーミル・ホロヴィッツの名盤を集めました。
ホロヴィッツの録音はほぼすべて聴きつつ、また参考文献として「ホロヴィッツの全録音をCDで聴く」という名著を参考にしています。
本記事は、
- 前半→ホロヴィッツについて
- 後半→ホロヴィッツの名盤
の構成になっています。
ホロヴィッツの名盤ということで、歴史に残る偉大な録音です!
それではさっそく!
ウラディーミル・ホロヴィッツについて
ホロヴィッツについてサラリとまとめました。
- ウクライナ生まれ(1903年10月1日 – 1989年11月5日)
- 9才でキエフ音楽院に入学(1912年)
- 16才卒業(1919年、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を演奏)
- 17才初リサイタル
- アメリカデビュー1928年、25才のとき(チェイコフスキーのピアノ協奏曲を演奏、奇跡的なピアニストと言われる)
- 1932年、トスカニーニと共演、娘のワンダと結婚
- 1940年アメリカに引っ越す、1944年に市民権を獲得
- 1953~1965年まで12年間、コンサートを行っていない!(50才〜62才)
- 「悪魔的」と呼ばれるほどの名演を残す
- 1983年に来日するも「ひび割れた骨董品」と呼ばれてしまう(薬を飲んでいたという説あり←自伝より)
- グラミー賞、レジオンドヌール勲章 、大統領自由勲章など多数受賞
ホロヴィッツの功績【知名度の低い曲も演奏した】
ホロヴィッツは、キエフ音楽院を卒業した時に演奏した曲は、ラフマニノフの第3番のコンチェルト。
これは、当時ほとんど演奏されることのない曲でした。
そのほかにホロヴィッツが発掘した曲をまとめると
- リスト:ピアノソナタロ短調
- プロコフィエフ:ピアノソナタ第6〜8番
- カバレフスキー:ピアノソナタ第2,3番
- バーバー:ピアノソナタ(世界初演)
- クレメンティ。チェルニー、モシュコフスキーの小品をアンコールで演奏
ホロヴィッツの独特の奏法
ホロヴィッツのすごいところは、誰にも決してマネすることのできない、独特のスタイルにありますね。
ホロヴィッツの独特さをまとめると、、
- 指を伸ばして演奏する
- 不必要にペダルを使わない
- 最弱音から最強音まで、デュナーミクの幅が広い
- 和音がにごらない
- 抜群のコントロール
- あふれるファンタジー
ポリーニもインタビューで、ホロヴィッツについて聞かれた時「ものすごいファンタジーにあふれた演奏だった」と答えています。
日本の教育とは真逆の奏法
日本の音楽教育(ピアノ)で、もともと入ってきていたのは、ドイツ系に影響されるピアノ奏法。
おそらくピアノを習ったことのある方なら、ほとんどの方が「指はアーチ型」で習ったはず。
コルトーやペルルミュテールは指を伸ばす奏法も
フランスの名手アルフレッド・コルトーは指を伸ばす奏法を使っています。
また同じくフランスのラヴェルの後継者であるペルルミュテールも同じような奏法を使ってます。
ペルルミュテールさんはラヴェルの素晴らしい楽譜を残しています。興味のある方は、下記をどうぞ。
-
ラヴェルのピアノ曲「楽譜はどれを使うのがベスト??」
続きを見る
ではここからは、ホロヴィッツの具体的な名盤について!
ウラディーミル・ホロヴィッツ【5つのすごい名盤】
この画像は、Amazon Music Unlimitedで「ホロヴィッツ」と検索をかけたもの。
すると全部で「312枚」のCDとレコードが見つかります。
CDで出版されていないレコード時代のものまでAmazon Music Unlimitedで聴けるのです。すごいですね。
(30日間の無料体験をしつつ聴くことも可能)
ではこの中から5つをピックアップしてご紹介します。
1. ホロヴィッツの出世作:チェイコフスキーピアノ協奏曲第1番
これは1941年の録音。ホロヴィッツ38才。
ホロヴィッツは1928年にこの作品をトスカニーニと共演することで、アメリカデビューをしています。
そのライブ録音はないけど、その14年後に同じくトスカニーニと共演し、録音を残しています。
「これ以上のチェイコフスキーはない」とか「ホロヴィッツの最高の録音」「これでホロヴィッツの良さがわかった…」
と言われる、最高の名盤とされています。
2. ホロヴィッツが人気曲に:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
ラフマニノフのピアノ協奏曲の第3番は、ホロヴィッツが演奏するまで人気曲ではなかったのです。
ホロヴィッツがあまりの名演を残したため、人気の曲になったとあって、名盤中の名盤とされているもの。
さらに同じく収録されている、ラフマニノフのピアノソナタ第2番も歴史的な名盤の1つとされています。
3. 1966年 カーネギー・ホール・コンサート
ホロヴィッツ=カーネギーホールと思い浮かべる方も多いはず。
このCDは、ホロヴィッツが63才の時の全盛期と言われる名盤。
このCDは、ベートーヴェンやモーツアルトなどの古典派が中心で、なおかつトルコ行進曲などの人気曲も入っていて、聴きやすいのが特徴です。
さらに同じく収録されている、モーツアルトのピアノソナタ第10番は、ホロヴィッツが得意とした曲で、とにかく素晴らしい。
1966年カーネギー・ホール・コンサート/CD/SICC-167
4. ザ・ラストレコーディング(4日後に亡くなる)
ホロヴィッツは、亡くなる4日前に、自宅でこの録音を残しています。
自分の死期がせまっているのを感じて、最後の最後にファンのために残したかのような録音。
ディヌ・リパッティも死の直前に録音を残しているけど、不思議な魅力というかこの世のものとは思えないような魅力を感じますね。
特に弱々しいわけでもなく、力強いところもあって「え、4日後に亡くなってしまうの?」と思います。
しかし、偉大な方は、亡くなる直前でもひたすら偉大ですね…。
間違いなく聴いた方が良い、ホロヴィッツの最期の録音です。
5. 個人的にオススメCD「アーティスト・オブ・ザ・センチュリー」
これはホロヴィッツがピアノ小品だけで、コンサートをした録音で2枚組のライブ録音。
個人的には、これが一番好きな録音です。高校生の頃、このCDを聴いてホロヴィッツの虜になりました…。
有名な編曲「カルメン変奏曲」や「星条旗よ永遠なれ」もこれで聴くことができますし、ホロヴィッツの魅力を堪能するのに、これ以上のCDはないと思っています。
デメリットとして、CDで購入の場合、中古で値段が上がっていることと、日本語ではないこと。
Amazon Music Unlimitedで聴くことができるので、こちらがオススメです。
おまけ:ホロヴィッツの編曲作品
- カルメン変奏曲
- 死の舞踏
- 結婚行進曲による変奏曲
- 星条旗よ永遠なれ
- ハンガリー狂詩曲第2番
ホロヴィッツは、編曲も得意としていました。
上記の5つの録音はすごくオススメ。
ド派手で、エンターテイナーの要素もある録音です。
すべてが収録したCDは見つからないので、一つずつ聴く感じになると思います。
まとめ:ホロヴィッツの歴史的な名盤
今回、ご紹介した5つの名盤は以下のとおり。
- チャイコフスキーピアノ協奏曲第1番
- ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
- 1966年 カーネギーホール・コンサート
- ザ・ラスト・レコーディング
- 小品集
さらに詳しく知りたい方は、「ホロヴィッツの全録音をCDで聴く」をどうぞ。
またホロヴィッツの312枚の録音をすべて聴きたい方!?笑 は、Amazon Music Unlimitedをどうぞ。
それでは終わりです。