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バッハ「平均律」のおすすめ楽譜「失敗しない選び方」

バッハの平均律のおすすめ楽譜をまとめました。

とりあえず、現在手に入る「平均律」の楽譜の一覧です。

Amazonでも手に入るバッハの平均律の楽譜は、以下の9冊。

» Amazonで「平均律 楽譜」と検索した結果

  1. ヘンレ版(おすすめ!)
  2. ウィーン原典版
  3. ベーレンライター版
  4. ムジェリーニ版とブゾーニ版
  5. 全音版(市田版)
  6. 野平版
  7. 園田高弘版
  8. 井口版(現代では使いにくいので、解説はカット)

おすすめは間違いなく、バッハの名手アンドラーシュ・シフが運指(指づかい)を行ったヘンレ版の一択。

多くのピアニストがヘンレ版を愛用していますし、音大で使用率が1番高いのも、このヘンレ版。

2007年にアンドラーシュ・シフが運指を行ったことで、その価値はまたグンと上がった印象です。

とはいえそのほかにも、まだまだ魅力的なバッハの平均律の楽譜がありますので、ご紹介してみます!

 

平均律のおすすめ楽譜【3つの原典版】

 

バッハの平均律を演奏できるレベルになったら、「原典版」を検討するのが一般的ですね。

※ 「原典版」は、バッハが書いた音だけを楽譜にしたもの

「校訂版(解釈版)」は、時代によって変わってしまったりするので、おすすめはしにくいところ。

とはいえ趣味で平均律を演奏する予定の方は、「校訂版」の方が良いと思います。(のちほどご紹介)

 

1. 迷ったらヘンレ版の一択

もし迷ったら、ヘンレ版が平均律で1番素晴らしいのは、数十年前からずっと同じかと思います。

学生時代、先生、友人・知人みんなこのヘンレ版の平均律を使用していました。

もちろん自分でも中学生の頃から、ずっとヘンレ版がメインの楽譜。

2007年からは、さらに素晴らしくあのアンドラーシュ・シフが運指を行っているのが驚き。

ヘンレ版の特徴でもあるけど、楽譜が使いやすく、高級感もあって、練習のモチベーションまで上げてくれるのが魅力ですね。

本気でバッハの平均律に取り組むなら、ヘンレ版が1番後悔のない選択になるかと思います。

注意!ヘンレ版には「運指あり」と「運指なし」があります。「アンドラーシュ・シフ運指」と書かれてあるものを選ぶ方が基本的には良いです。

Amazonや楽天市場でも「Aシフによる運指」と書かれてあるので、わかるかと思います。(何も書いていなければ、「運指なし」の可能性ありです)

 

2. ウィーン原典版(信頼性が高い)

ウィーン原典版の平均律クラヴィーア曲集は1977年出版と、やや研究が古い楽譜になるけど、校訂の資料や理由がしっかりと書かれていて「信頼性が高い」と言われている楽譜です。

個人的には、「運指、楽譜の使いやすさ、見やすさ」で、さすがにヘンレ版に負けてしまう印象。

とはいえ、信頼性が高く、値段が安くなっていることも多いのがメリット。

 

3. ベーレンライター版「信頼性高く、使いやすい、運指なし」

もしもヘンレ版が手に入らなかったら、間違いなくこのベーレンライター版を購入します。

理由は、「最新のバッハの研究が反映されていること」と「使いやすくて見やすい」ということ。

もしかしたら「ヘンレ版よりベーレンライター版の方が使いやすい」という方は、一定数いらっしゃるかと思います。

注意点としては、運指(指づかい)がないこと。

なので例えば、中学生とかが「初めてバッハの平均律に挑戦する」みたいな時には、指づかいがないことで苦労してしまう可能性があるかと思います。

ですので、そんな意味でも迷ったらヘンレ版。ヘンレ版はアンドラーシュ・シフによるとびっきり素晴らしい運指付き。

 

バッハ平均律のおすすめ楽譜【4つの校訂版】

 

全音版(市田儀一郎編)

バッハ研究の第一人者である市田先生の校訂による楽譜です。

ベーレンライター版の平均律の研究がもとになっていて、信頼性も高く、解説がしっかり日本語で書かれているのがポイント。(とはいえやや難しい。初心者の方はおそらく理解できないかと。)

メリットとしては、近くの書店でも手に入りやすいことで、アマチュアの方が使っている場合が多い印象です。

楽譜の使いやすさでいうと、やはりヘンレ版やベーレンライター版にやや劣るくらい。

※ 注意!全音版にも「原典版」があり、もし全音版を選ぶなら「市田解説版」がおすすめです。

 

園田高弘版(CD付き)

先ほどの全音版は、研究者である市田先生による校訂版で、こちらは日本の伝説的な大ピアニスト園田高弘さんによる校訂版。

それゆえより実践的な内容になっていて、独学の方が一番上達しやすいのは、この園田版を使うことかと思います。

個人的には、楽譜も使いやすく、見やすいです。さらにCDまで付いているのでお得。

「原典版はさすがにちょっと…」という時に、検討すると良い楽譜だと思います。

デメリットを一つ加えると、1巻と2巻がそれぞれ2冊ずつになっていて、やや値段が高いこと。

ピンポイントで購入を検討されるのも良いかと思います。

 

ブゾーニ版、ムジェリーニ版

どちらもドイツのブライトコップ&ヘルテル社から出版されている楽譜で、どちらも伝説的な「校訂版」の楽譜。

とはいえブゾーニは1866年生まれ、ムジェリーニは1871年生まれ。

100年以上、バッハの平均律の最高の楽譜として名高いけど、解釈が19世紀的なので、「現代でも使えるか?」というと「使えない」のが一般的。

音大の入試で演奏できる以上のレベルになって、最後に「あ〜19世紀はこんな解釈でバッハの平均律を演奏していたんだ」みたいな使い方では最高の楽譜。

初めてバッハの平均律に取り組む人が使うと、かなり悪影響が出てしまうかもしれませんね。

 

バッハ平均律【原典版と併用】「これが最適解!」

 

バッハの平均律の原典版は素晴らしい楽譜。しかし情報が少なく、何かと取り組みにくいのがデメリット。

そんな時に役立つのが、平均律を解説した本。

むかし(20年ほど前)にすごく良い本があったのだけど、現代でも手に入る素晴らしい解説本を2つご紹介しつつ終わります。

 

1. バッハ平均律 解釈と演奏法

これは昔からずっとバッハの平均律の研究で有名な本です。

20年前にはすで発行されていて、2012に改定されたようです。

全音の校訂をされた市田先生によるもので、全音版をより詳しくしたような内容。

内容はかなり素晴らしいものの、やや難しく、値段もかなり高いのが注意点。

大学時代に熟読したけど「かなり難解…しかし役にたつ」といった印象でした。

 

2. バッハ「平均律」解読

現在でしたら、こちらの小鍛冶 邦隆さんの著書の方がおすすめです。

小鍛冶先生は、日本を代表する作曲家で、バッハの研究者としても有名な方。

先ほどの市田さんの著書よりも、わかりやすく、そして値段も半分ほど。

発売は2024年の1月なので、「研究が新しい」というのもメリットで、これから音大などの教材でもこちらが一般的になっていくと思います。

 

まとめ:バッハ「平均律」のおすすめ楽譜

 

最後に「バッハの平均律」の楽譜選びのポイントをまとめつつ終わります。

  • ヘンレ版→最高に素晴らしく、迷ったら間違いない
  • ウィーン原典版→価格が安く、信頼性が高い、少し楽譜は使いにくい
  • ベーレンライター版→信頼性が高く、楽譜も使いやすい、運指がないので注意
  • 全音版→手に入りやすくある程度使いやすい
  • 園田版→初心者の方が独学するなら最高の楽譜
  • ブゾーニ、ムジェリーニ番→上級者の研究向き
  • バッハ平均律「解釈と演奏法」→信頼性高い、やや難しく、値段高い
  • バッハ「平均律」解読→新しい研究でわかりやすく、値段も安い

それではこのあたりで終わります。

少しでも参考にしていただけたら幸いです!

 

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