こんにちは。
伝説のピアニスト「アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ についてまとめてみました。
ミケランジェリは、1995年に亡くなっているけど、今でも伝説的に語られているピアニストです。
ピアニストとして有名なのはもちろんのこと、あのポリーニやアルゲリッチが、ショパンコンクールで優勝してから、ミケランジェリに師事しているのは、本当にすごい事実だと思います。
本記事は、
- ミケランジェリについて
- ミケランジェリの聴くべきポイント
- ミケランジェリの名盤
この3点についてまとめてあります。
またミケランジェリの名盤は、すべてAmazonの「Music Unlimited」で聴くことも可能です。
アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリについて
言わずと知れた、伝説的なピアニストだけど、特に重要なポイントをまとめてみました。
- 1920年、イタリアのブレーシャ地方に生まれる
- 1939年、ジュネーブ国際コンクールで優勝
- 1955年、ショパンコンクールの審査員、公式ピアニスト(←今はない制度)
- ポリーニ、アルゲリッチを指導(本人いわく、教えることは何もなかったとのこと)
- 完璧主義ゆえ、キャンセル多数
- 人間嫌いだった
- ピアノを教えた人数は、1000〜2000人と言われている
- 1995年、スイスのルガーノで他界
ミケランジェリを聴く3つのポイント
1:比類なき完璧さ
マウリツィオ・ポリーニは、とあるインタビューで、ミケランジェリについて聞かれた時に、
「あそこまで完璧なピアニストは見たことがない」
とだけ語っていました。
ポリーニがショパンコンクールで優勝したときの数少ない録音を聴いてみると、かなりミケランジェリの解釈に似てます。
(YouTubeで検索すると見つかるかもです…。特に似ているのは、ショパンのソナタの第2番)
「ポリーニの名盤」については、下記をどうぞ。
-
マウリツィオ・ポリーニ【5つの完璧な名盤】
続きを見る
ミケランジェリの「完璧」さ
「完璧」と言っても、「ミスがない」という意味の完璧ではないです。
これなら、普通にたくさんいらっしゃいますからね。
ここでいう完璧とは、一言で言うと「音楽的に完璧」ということ。
つまり、作曲家の意図を、ミケランジェリの抜群のコントロールによって、テクニック的にも、曲の構成的にも完璧に仕上がっているという意味。
2:研ぎ澄まされた音色
ミケランジェリの音色についての印象をまとめました
- 透き通っている
- しかし「芯」がある
- エゴが一切感じられない
- 無駄な要素がない
- 汚い感じとは無縁
イメージとしては、ピアノの名手というより、ピアノを演奏する「仙人」といった感じかと。
あながち間違いではないと思ってます。笑
3:ミケランジェリの美学「造形美」
こちらは、イタリアのローマにある「トレビの泉」
イメージとして、ミケランジェリの音楽は、こういったイタリアの名建築を思わせる感じ。
壮大で、緻密で完璧。聴いてみたら「確かに!」と思っていただけるかもです…笑
不思議なことに、演奏を終わりまで、すべて聴いてから「あ〜そういう意味だったのか」
とわかるのです。
おそらくミケランジェリは、1つの曲を「造形美」のように捉えていたのではないかな?
と感じています。
ポリーニとの共通点
同じイタリアのピアニストで、師弟関係の2人だけど、1番の共通点は、上記の「造形美」のように音楽を捉えているところだと思っています。
ポリーニが来日した時に聴きに行ったけど、ハンマークラヴィーアソナタ(ベートーヴェンの50分ほどの大作)を演奏していました。
この時感じたことは、曲を最後まで聴いてから「あ〜そういう意味だったのか」
とミケランジェリを聴いた時と、全く同じ印象を受けました。
アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリの「すごい名盤」
ご紹介の前に…CDでも買えるけど Amazon「Music Unlimited」でしたらすべて聴くことが可能です。
30日間は、無料ですので検討してみる価値は高いと思います。
詳しくは下記をどうぞ。
-
Amazon「Music Unlimited」クラシック音楽を聴いた感想
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1:ドビュッシー 前奏曲集
「ミケランジェリの名盤はどれ?」ということが話題になると、必ずあがってくるのが、このドビュッシーの前奏曲集。
最も有名な、ミケランジェリの名盤です。
前奏曲集は、有名な亜麻色の乙女などを含む曲集。
ドビュッシーの前奏曲集は、テクニック的に難易度が高いところもあり、さらに音楽的に難解なところも。
その難しさが、ミケランジェリに火をつけたのでは?というほど、あまりにも「完璧」という言葉がふさわしいような演奏になっています。
この前奏曲集も、最後まで全部聴いてから「そういうことか!」と感じさせられるような演奏です。
2:ショパン
ジャン・マルク・ルイサダは、NHKの講座の中で「バラードの「第1番」を聴くなら絶対にミケランジェリを聴くべき。
とお話しされています。
バラードの第1番は、YouTubeでも現在、聴くことが可能です。
» ミケランジェリ ショパン バラード第1番他(YouTube)
その他、ミケランジェリが残した、ショパンの名演で有名な作品は、
「ソナタ第2番、アンダンテスピアナートと華麗な大ポロネーズ」など。
一般的に「ポーランド色を消して、ミケランジェリのピアニズムを感じる」と評価されることが多いです。
もし、ショパンコンクールで演奏したら、酷評する審査員も多いかもです…。
しかし、ミケランジェリに到達できない「至高のショパン」といった感じです。
3:ベートーヴェン
同じ時代のピアニスト、リヒテルは膨大な録音で有名です。
しかし、ミケランジェリは、完璧主義で、さらに譜読みが苦手だったこともあり、録音はかなり少ないです。
その中で、ベートーヴェンの有名な録音は「ソナタ第3,11,12,32番とピアノ協奏曲第4,5番」あたり。
その中でも、セルジュ・チェリビダッケと共演したピアノ協奏曲第5番「皇帝」は特に名盤として名高いです。
またミケランジェリのピアノを調律した村上輝久さんは、著書の中で「これが私の最高の音楽体験」と語られています。
4:その他の聴くべき名演
ミケランジェリは、14歳の時に卒業試験で、難曲ブラームスのパガニーニ変奏曲を弾いたことで、一躍注目を集めました。
さらに同じイタリアの作曲家、スカルラッティも得意としていて、ミケランジェリの圧倒されるようなピアニズムを聴くことが可能です。
この2つ(ブラームスとスカルラッティ)、ベートーヴェンの「皇帝」、ショパンのバラード第1番は、下記の「ミケランジェリ全集」で聴くことも可能です。
この全集も、Amazon「Music Unlimited」で、聴くことが可能です。
まとめ
最後にポリーニが、名著「ピアノを語る」の中で、語っていることを引用しつつ終わりにします。
ポリーニ「私は大部分のことは、偉大なピアニストたちの演奏から学んできました。彼らは皆それぞれ独自の芸術的な個性を持っていますし、いつも彼らのレパートリーのうちのいろいろな部分を選んで聴きました」とのこと。
そして特に「ミケランジェリの演奏からは、ショパンの演奏を学んだ」と書かれてあります。
ミケランジェリの演奏は、愛好家だけでなく、ピアノを勉強している方の役にも立ちそうですね!
それでは終わりです!
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