こんにちは。
今回は、ショパンの「革命のエチュード ハ短調 Op.10-12」を、「ピアノ上達に役立つ」をコンセプトにまとめてみました。
曲のイメージとしては、上記の画像のとおり。
(同時代の画家ドラクロワ風に、AIで作っています)
まずは、曲の基本情報から。
- 正式な曲名:練習曲 ハ短調 Op.10 第12番。「革命」は通称
- 作曲:一般に1831年頃とされる、ショパンが20代前半の作品
- 出版:1833年。「12の練習曲 Op.10」の最後の曲
- 拍子:2/2拍子。大きな2拍子で進む音楽
- 演奏時間:およそ2分半〜3分
- 難易度:上級。ヘンレの9段階評価では「8」
ショパン「革命のエチュード」の背景や題名の意味を

こちらも、もちろんドラクロワ風のショパン。
では革命について。
- 「12の練習曲 Op.10」は、1829〜1833年にかけて書かれた曲集
- 曲集全体が、フランツ・リストに献呈されている
- 「革命」は、その第12曲にあたるハ短調の練習曲
- 「革命」という呼び名は、ショパン自身が楽譜に付けた正式な題名ではない
参考:ショパン研究所「エチュード」、ヘンレ出版社「革命のエチュード」
「革命」は、ポーランドの蜂起と関係がある?
1830年、ポーランドではロシアの支配に対する十一月蜂起が起こりました。しかし1831年にはワルシャワが陥落し、蜂起は敗北へ向かいます。
故郷を離れていたショパンが、この知らせに大きな衝撃を受けたことは、当時の手紙などからうかがえます。
一方で、「知らせを聞いたその場で、怒りのまま一気にこの曲を書いた」とまで言える、確かな根拠はありません。
ヘンレ出版社も、1831年9月のワルシャワ陥落と作曲を直接結びつける話を、裏づけのない伝説として紹介しています。
祖国を思う気持ちを重ねて聴くことはできる。でも、曲のすべてを戦争の場面に当てはめなくても良い。そんな距離感で受け取ると、音楽を自由に味わえると思います。
参考:ショパン協会「ショパンの時代」、ヘンレ出版社の作品解説
「革命」は誰が命名した?
「革命」という呼び名は、フランツ・リストが付けたとされています。
ピティナ・ピアノ曲事典でも、リストによる通称として紹介されています。ショパン自身が付けた正式な題名ではないんですね。
ちなみに、この曲が入っている「12の練習曲 Op.10」は、曲集全体がリストに献呈されています。献呈された相手が、今に伝わる呼び名にも関わっている。そんなつながりを知ると、少し面白く感じますね。
「エチュード」は、指の練習だけの曲?じゃない
エチュードは「練習曲」という意味。
「革命」でも、左手の速いパッセージを通して、さまざまな技術を学べます。
ただ、ショパンのエチュードがすごいのは、それだけで演奏会の一曲になること。指を動かす課題と、心を動かす音楽が、ひとつになっています。
これはショパンの功績の1つ。
同じ頃のピアノ作品も聴いてみる
この曲だけを繰り返し聴くのも良いけれど、同じ時期に、ほかの作曲家がどんな音楽を書いていたのか。そこへ少し寄り道すると、音楽の見え方が変わります。
- シューマン「アベッグ変奏曲 Op.1」:1829〜1830年に作曲。ひとつの旋律が、装いや表情を変えていく作品。音型が変わっても、歌のつながりを感じてみたい曲です
- シューマン「蝶々 Op.2」:1830〜1831年頃の作品。舞曲を中心とした短い場面が、次々と移り変わります。曲ごとの性格や、フレーズの呼吸に注目を
- メンデルスゾーン「ロンド・カプリチオーソ Op.14」:1828年の作品をもとに、1830年に改訂。穏やかな歌から、軽やかに駆ける音楽へ。速い音を重くせず、流れを作るヒントにも
リンクはオススメYouTube動画になっています。
ピアノ以外→ベルリオーズの「幻想交響曲」
同時代のピアノ以外の作品を聴くのもすごく大事。
ということで、1830年に作曲されたベルリオーズ「幻想交響曲」。
こちらもものすごい名曲です。
» ベルリオーズ「幻想交響曲」(ピエール・モントゥ、ウィーンフィルの名演)
ショパンの革命に取り組むなら、聴くと良い作品の1つだと思います。
同時代の芸術祭品も
- ドラクロワ「民衆を導く自由の女神」:1830年。フランスの七月革命を題材にした作品
- 葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」:メトロポリタン美術館では1830〜1832年頃とされる作品
ドラクロワの絵の革命は、フランスの出来事。「革命のエチュード」と結びつけて語られる、ポーランドの蜂起とは別です。
そして日本は江戸時代の天保年間。ショパンが生きていた頃に、北斎のあの大波も描かれていた。そう考えると、ちょっと時代の距離が縮まりますね。
参考:ルーヴル美術館「民衆を導く自由の女神」解説、メトロポリタン美術館「神奈川沖浪裏」
ショパン「革命のエチュード」の難易度は?

「革命」は、上級者向けの作品であることは間違いないですね。
ヘンレ出版社の9段階の難易度では「8」。同じOp.10の「別れの曲」と「黒鍵」は「7」、第1番は「9」とされています。
ただし、これは難しさを考える目安。数字がひとつ下だから、すぐ弾けるとは限りません。
ショパン「革命のエチュード」の弾き方・練習のポイント

革命を弾くレベルだと、ポイントなんてどうでも良いかと思います。笑
なので「がんばって」といった感じ。笑
とはいえ、
- リズム練習って効果ある?→ある。けどある程度からやらなくても良いかも
- 名演を参考にするのは?→すごく効果ある
- 余計なチカラは抜く→すごく効果ある
無理なく、ちょっとずつ体に馴染ませていくような感じだと思います。
ショパン「革命のエチュード」で押さえたい音楽用語
- Allegro con fuoco → 快速に、燃えるように
- con forza → 力を込めて、力強く
- legatissimo → きわめてなめらかに。音のつながりを十分に保って
- stretto → 切迫して、畳みかけるように。流れを引き締め、緊張を高めていく感じで
- smorz.(smorzando)→ 音が消えていくように。響きと勢いを静めながら
- sotto voce → 声をひそめて。抑えた声で語りかけるように
- poco rallent.(poco rallentando)→ 少しずつ速度を緩めて
- a tempo → 速度を変える前の、もとのテンポに戻って
- appassionato → 情熱的に、強い感情を込めて。「ed appassionato」なら「そして情熱的に」
参考:「革命のエチュード」公開楽譜。
ショパン「革命のエチュード」で聴きたい名演6人

ポリーニ、アシュケナージ、コルトー、イム・ユンチャン、ヤン・リシエツキ、サンソン・フランソワの6人をご紹介。
マウリツィオ・ポリーニ
ショパンのエチュード集の代表的な名演です。
これを聴いたことない人を見たことないレベル。
ウラディーミル・アシュケナージ
もう1つの名演の1つ。
センスと情景を感じる名演だと思います。
アルフレッド・コルトー
こちらは歴史的な名演。
革命の魅力に気づくのにもすごく役に立つと思います。
イム・ユンチャン
現代的で、最高の名演の1つ。
コンクールや音楽大学の入試で、すごく参考になると思います。
ヤン・リシエツキ
若きポーラーンドの名手。
現代の聴くべきショパンの1つだと思います。
いかにもポーランドでピアノを勉強したといった名演だと思います。
サンソン・フランソワ
フランスの歴史的なピアニスト。
リシエツキとはまったく違う演奏で、聴き比べると音楽の幅が広ばるように感じます。
音質良く、名演を聴く
Amazon Music Unlimitedを試すのもアリだと思います。
マルっとたくさんの名演が聴けて、音質が良いのが特徴。
ショパン「革命のエチュード」のおすすめ楽譜3選
楽譜は、エキエル版・ヘンレ版・パデレフスキ版の3つが候補に。
同じ曲でも、運指やスラー、ペダル、注釈などに違いがあります。
エキエル版「エチュード集」
資料に基づいて、ショパンの楽譜をじっくり学びたい方に。
ヤン・エキエルらによるナショナル・エディションです。購入する時は、解説の言語と判型を確認しておくと安心。
現代の定番的な楽譜です。
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» PWM出版社の小型版についての説明
パデレフスキ版「ショパン全集 II エチュード」
ポーランド音楽出版社による、パデレフスキ監修のショパン全集です。
エキエル版が登場するまで、世界の定番だった楽譜。
迷ったらこれが良いと思います。
ヘンレ版「エチュード集」
原典版。
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» 「革命」の一曲版をAmazonで探す
» ヘンレ出版社の版情報
まとめ:ショパン「革命のエチュード」の難易度・背景・弾き方・名演・楽譜
最後にこの記事をまとめて。
- 1833年に出版された
- 「革命」は通称。ワルシャワ陥落を聞いて一気に作曲した、という話は断定できないけど、有力な説
- 難易度は上級。ヘンレの9段階では「8」
- 名演→ポリーニ・アシュケナージ・コルトー・イム・ユンチャン・リシエツキ・フランソワ
- 楽譜は、エキエル版・ヘンレ版・パデレフスキ版が候補に
それではこのあたりで終わります。
最後までありがとうございました!