こんにちは。
バッハ演奏のプロフェッショナルで、指導の面でも田村響さんなどを育てた、クラウディオソアレスさんの著書をレビューしました。
バッハのピアノ演奏の知識を増やしたい方や、バッハに関することで行き詰まっている方には、有益だと思いますので、ぜひ参考にしてみてください!
クラウディオ・ソアレス先生について
サクッとまとめました
- ブラジル生まれ
- 現在おそらく70歳くらい(音大にいたのが1972年から77年のため)
- ハノーファで名教師ハンス・ライグラフに師事
- 国際コンクールの入賞者を多数育てる
- いくつかのコンクールを創設(堺国際、マーラー国際コンクールなど)
とりあえず、超のつく名教師として有名な方です
ちなみに、ハノーファーで師事したライグラフ先生は、バッハの研究で有名な方
日本だと、芸大の伊藤恵先生も、ライグラフ先生のところに留学されていますね
この本「バッハ演奏ハンドブック」もライグラフ先生の影響が濃いはずです!
バッハ演奏ハンドブックの魅力
なぜバッハを演奏するの?
おそらくある程度ピアノを弾ける方なら、100%くらいの確率でバッハを演奏した経験があるはず。
でも「なぜバッハ?」と聞かれると、正直答えにくい…
ソアレス先生の言葉が印象的だったので、まとめると
- 作品のキャラクターを感じとる
- 楽曲の分析
- フレージングとアーティキュレーション
- ふさわしいアゴーギグをつける
- 技術的に(左右の手の独立)
- 音色を想像する力
- 複数の旋律の聴き分け
つまり、ピアノの基本を身に付けるのにバッハが最高だから。
というようなことをおっしゃっています。
ボクが主観でもう一つ付け加えると、音楽が時代を超えるほど素晴らしいからだと思います。
音大に行っても身につかないバッハの知識
音大に行ったから、これでバッハの知識は100%OKとは、100%ならないですね…笑
例えば、印象的だったことで、バロックの終止形は、句点(。)で古典派の終止形は読点(、)という話。
これ以上書くと、難しくなりすぎるので、詳しく知りたい方は本を読んでもらうとして、あらためて納得なことでした
重要:アーティキュレーションの7つのポイント
すごく重要だと思ったので、完全に著書「バッハ演奏ハンドブック」から引用しました。
- 作品のスタイル(初期、ロココ)
- キャラクター(宗教音楽、世俗音楽、教育目的)
- テーマ、モチーフ
- フレージング(和声、対位法、リズム)
- 時代の美的感覚(音量の変化がないこと)
- カンタービレ奏法(「歌う」ではなく「喋る、語る」)
- その時代の楽器と奏法を知る
※ 「ロココ」とは後期バロック時代のこと
このあたりのバッハの知識をつけたい方には、すごくオススメできますね。
例えば、インベンションの原点版の冒頭を見ると、バッハ自身の言葉があってその中に「カンタービレで演奏してほしい」とあります。
現代だと「カンタービレ」→「歌うように」となるけど、これは間違い。
ここでバッハのいう「カンタービレ」は「語る」もしくは「喋る」という意味で、カンタービレを使っています。
そもそもこの時代に、イタリアのベルカントのような歌い方はなかったのです…。
バッハの指導ポイントも書かれてある
バッハを教えるのって難しいけど、この本の中にポイントが書かれてありました
印象的なところをピックアップしてみますね
- 原典版を使う
- 一緒に分析する
- アーティキュレーションをおしつけない
- 曲のキャラクターの話をする
- アイディアをあげて能力を引きだしてあげる
ソアレス先生に習いたい…って思います…笑
インベンション、シンフォニア、平均律、舞曲の解説
後半は、これらの曲の具体的な解釈や、演奏法が書かれてありました。
例えば、フーガの意味を知っていますか?
答えは、ラテン語で「逃げる」
声部の追いかけっこという意味ですね。
ソアレス先生は、理解しにくいフーガも以下のように考えると、理解しやすいと
- 提示部
- 展開部
- 展開
- ストレッタ
たしかに、むずかしそうなフーガもこれらを見つけると、曲を理解しやすいですね
デメリット?→音楽の知識がゼロだと難しいかも
素晴らしい本だけど、例えば音程「完全5度」とか「トニック」「ドミナント」このあたりの言葉が全く知らない方には、少し難易度が高いかな?
と思います。
まとめ:オススメの使い方「有益でした!」
例えば、
- プレリュードはどうやって演奏するんだ?
- ストレッタってなんだ?
- 装飾音の付け方は?
- コンクール、入試の前の確認がしたい
- バッハの演奏にいきづまった…
みたいな時に、サクッと調べるとおよそ全て見つかります
「ハンドブック」となっているとおり、バッハのピアノ演奏に関する情報がマルッと入っているのは、便利で良いですね!
クラウディオ・ソアレスさんという名教師が書かれていて、信頼性が高いところもポイント!
ぜひ参考にしてみてください!