こんにちは。
何かオススメがあれば教えて…
こういった方のお役に立てる記事になっています。
高校生の時から、勉強もかねてリヒテルの演奏は、ほぼすべての演奏を聴いています。
実は天才リヒテルだけど、録音の技術がまた発展途上だったこともあって、たくさんの「?」な録音もあります。
リヒテル自身も「良くない演奏もたくさん録音で残している…」と著書の中で、語っています。
というわけで、本当に素晴らしいリヒテルの録音についてご紹介してみますね。
スヴャトスラフ・リヒテルはロシアの伝説的なピアニスト
リヒテルを聴く前に、リヒテルの特徴についてわかりやすくまとめてみました。
- 1915年、ウクライナで生まれた(父:ドイツ人、母:ロシア人)
- リヒテル父は、スパイの容疑で1941年に処刑されている
- 幼い時に両親から、音楽の指導を受ける。その後はピアノを独学
- 22歳でモスクワ音楽院に入学。ゲンリッヒ・ネイガウスに師事
- プロコフィエフと親交。ソナタ第7番を初演
- 30歳のとき、全モスクワ音楽コンクールで優勝
- チャイコフスキーの審査員:クライバーンが満点、そのほかは0点をつけた
- 1960年までは、東ヨーロッパで活躍。その後は西側でも活躍
- リヒテルはLGBT(つまり同性愛者。結婚も偽装結婚と言われています)
- 手は巨大(12度の音程はラク。ド〜オクターブ上のファまで!)
- たくさんの名演、録音を残し伝説となる
- 晩年は楽譜を見て演奏。日本のピアノ「ヤマハ」を好む
- 1997年、モスクワで生涯を閉じる。82歳。
簡単にまとめようとしたけど、あまりにもエピソードが多いので、こんな感じ。
割と驚きなのが、22歳で入学し、それからネイガウスに師事しています。
今の時代だと、ちょっと難しいですね‥。
コンクールで優勝したのも30歳の時なので、かなりの遅咲きと言えそうです。
ちなみにリヒテルはLGBT(同性愛者)が有名だけど、ホロヴィッツはこんな言葉を残しています。
ホロヴィッツの言葉
「ピアニストには3種類いる。ユダヤ人か同性愛者か下手っぴ」
音楽の才能がある人をたくさん見てきたけど、あながち間違いではなさそうだな、、と言うのが正直なところではあります
続いては、リヒテルの聴くべきポイントについて!
リヒテルの演奏「聴くべきポイントは3つ!」
1:ズバ抜けたテクニックとパワフルな演奏
リヒテルがヨーロッパの東側だけで活躍していた時に、ヴァン・クライバーンが
「リヒテルは、今まで聴いたピアノの演奏の中で、一番パワフルだった」
と発言して、評判だけが一人歩き。
今のようにネットもないので、西側では「伝説のピアニスト」と呼ばれてました。
2:聴くべきはリヒテルの精神性
これはグレン・グールドの言葉を引用すると、
「シューベルトの第21番を聴いた時、催眠術のようなトランス状態としか思えない境地に連れて行かれた」
と発言しています。
これは、残されたCDでもある程度、感じることができて後ほどこのタイプの演奏もご紹介します。
3:リヒテルは自己主張を嫌った
リヒテル自身の言葉を引用すると、
「最高の演奏は、演奏者を感じさせないこと。私の演奏は、聴いた人にリヒテルだと気づかれてしまうので、自分はまだまだ」
というようなことを語っています。
つまり、ある意味では模範的な演奏でもあります。
それゆえ、音大の入試前とかコンクール前にリヒテルの演奏を聴いて勉強する人は、今でも多いです。
(リヒテルの死後、25年が経っています)2022年現在。
リヒテルの絶対に聴くべき3つの名盤!
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ではリヒテルの最高の名盤をご紹介してみます。
どれもピアノの歴史に名を刻む、言うまでもなき「名盤」です。
1:バッハ 平均律「リヒテルの真骨頂&これ以上ない平均律」
音大の入試だとショパンの練習曲とバッハの平均律は、絶対に必要ですね。
「ショパンだとポリーニ、バッハだとリヒテル」を世界中の、音大を受ける人が、ほぼ100%参考にしている偉大な録音です。
バッハの平均律という、ピアノの「至高」的な作品を、リヒテルが限りなく純度高く演奏しています。
言葉で表すのが、あまりにも難しいほどで、あえて言葉にすると「音楽のレベルが高い…」です。
もしピアノ曲が好きなら絶対に聴いて損のない作品。
2:トランス状態を体感したいなら、シューベルト
グレン・グールドが「トランス状態になった」と発言したのは、第21番。
シューベルトが亡くなる直前に作曲した作品です。
個人的にオススメは、第21番に加えて第13番。
第13番の方が、時間も短くて聴きやすいからです。
「音楽でこんな世界がつくれるの?」「音楽は偉大だ」
と思える録音です。
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3:ロシア作品は、正統にして最高の演奏
リヒテルのパワフルさ、抜群のテクニックを体感したいなら、上記の2つではダメ。笑
この場合、間違いなくロシア作品(ラフマニノフ、チャイコフスキー、プロコフィエフなど)がオススメ。
あえて一つご紹介すると、有名作品である、ラフマニノフのピアノ協奏曲の第2番。
山ほど、いろいろな人の演奏を聴いたけど、やっぱりリヒテルが一番うまいな〜というのが正直なところです。
というのも、ラフマニノフの心も、演奏スタイルもこの作品にはとにかくピッタリ。
「これぞロシア音楽!」と思える録音です。
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とにかくリヒテルを体感したいなら全集もアリ
最近、ピアノの巨匠のCDの全集がかなり格安で販売されています。
デメリットとしては、あまり良くない録音を含むことと、日本語の訳がついていないこと。
とはいえ、あまりにもコスパが良いので、原語でも何の曲かわかる方には、特にオススメ。
リヒテルの心を知る「リヒテルは語る」
リヒテルがどのようにピアノのそれぞれの作品について考えているかは、こちらの著書を読めばわかります。
有名どころでは、「ショパンのスケルツォ第4番。あれはまだ飛び方を習得していない天使を描いている」
という言葉。
【ピアノのオススメ本の記事】の中でも詳しく解説しています!
この本を読むと「あ〜リヒテルはこういう風に考えているから、こういう演奏をしているんだな」
ということがわかります。
音楽高校や音大を目指している&通っている方には特にオススメの著書。
巨匠の思考ほど、音楽の勉強になるものって、なかなかないです。
リヒテルは語る /筑摩書房/ユ-リ-・アリベルトヴィチ・ボリソフ
おまけ:抜群のテクニック
リヒテルの抜群のテクニックを見てみたい方は、下記のYouTube動画をどうぞ。
いつまで削除されないか不明ですが…
参考までに…です。
とはいえ、これはリヒテルの魅力のごく一面だけ。
リヒテルの魅力を理解するのには不十分だけど、いかにリヒテルが命がけでピアノに取り組んでいたかがわかる動画です。
まとめ:リヒテルの聴くべき名盤
ちょっとリヒテルの特徴を踏まえつつまとめると、
- テクニックは現代の若手に負けるかも
- パワフルさはおそらくトップクラス
- 芸術的な演奏という意味で、現代のほぼ全てのピアニストが敵わない…(と言われている)
- 迷ったら、バッハ、シューベルト、ロシア作品がオススメ
実は、オススメ録音はまだまだあるけど、あえて3人の作曲家に絞っています。
この3人の作曲家の演奏を聴くと、おおよそリヒテルの魅力がつかめるはず。
そしてピアノの歴史上、間違いなくトップクラスに素晴らしい録音を残していることは、確かです。
そんな演奏ですので、1つでもぜひ聴いてみてください!
参考文献
- ブリューノ・モンサンジョン『リヒテル』中地義和、鈴木圭介訳、筑摩書房
- ユーリー・ボリソフ『リヒテルは語る—人とピアノ、芸術と夢』宮澤淳一訳(オススメ書籍です)
- 河島みどり『リヒテルと私』
- ゲンリッヒ・ネイガイウス『ピアノ演奏芸術』(リヒテルの先生の著書。こちらも音大生を中心にオススメ)