こんにちは。
今回は、リストの「ため息」を「ピアノ上達に役立つ」をコンセプトにまとめてみました。
この記事では、「曲の背景や題名の意味、難易度、上達に役立つヒント、オススメの名演7人とオススメ楽譜3選」をご紹介。
同じ時代の音楽や絵画、日本史なども知ることで、より上達や楽しさをアップするきっかけになればと思います。
リスト「ため息」の背景や意味を

歴史を知って演奏するのも大事。ということでまとめました。
- 1848年に完成。「3つの演奏会用練習曲」の第3曲
- 原題の「Un sospiro」は、イタリア語で「ひとつのため息」という意味
- 題名はフランス初版で付けられた。リスト自身の命名とは断定できず、出版社の意向だった可能性あり。
同年代の有名作品は?
「ため息」が完成した1848年前後には、こんなピアノ作品も。
- ショパン「舟歌」:1845〜1846年に作曲
- ショパン「幻想ポロネーズ」:1845〜1846年に作曲
- シューマン「子供のためのアルバム」:1848年に作曲
- シューマン「森の情景」:1848〜1849年に作曲
- リスト「愛の夢 第3番」:ピアノ独奏版は1850年に出版
ロマン派音楽の全盛期ですね。
同年代のピアノ以外の作品は?
「ため息」が完成した1848年前後には、オペラや交響曲でもこんな作品が。
- ワーグナー「タンホイザー」:1845年に初演
- ベルリオーズ「ファウストの劫罰」:1846年に初演
- メンデルスゾーン「エリヤ」:1846年に初演。独唱・合唱とオーケストラのための作品
- ワーグナー「ローエングリン」:1850年に初演
- シューマン「交響曲 第3番『ライン』」:1850年に作曲
同じ時代の芸術作品も
「ため息」が完成した1848年前後には、絵画や文学でもこんな作品が。
- ターナー「雨、蒸気、速度」:1844年に制作された絵画
- シャーロット・ブロンテ「ジェーン・エア」:1847年に出版された小説
- エミリー・ブロンテ「嵐が丘」:1847年に出版された小説
- クールベ「オルナンの埋葬」:1849〜1850年に制作された絵画
- ミレー「種まく人」:1850年に制作された絵画
同じ時代の日本史と世界史もサクッと
「ため息」が完成した1848年、日本はまだ江戸時代。世界も大きく動いていた頃。
- 日本:1847年、善光寺地震が発生。今の長野県を中心に大きな被害
- 日本:ペリーの黒船来航は1853年。「ため息」の完成は、その5年前
- フランス:1848年、二月革命で国王が退位。第二共和政へ
- アメリカ:1848年、カリフォルニアで金を発見。ゴールドラッシュのきっかけに
- フランス:1848年、ルイ・ナポレオンが大統領に。1852年には皇帝ナポレオン3世へ
ちょっと歴史を知っておくのも楽しい!
リスト「ため息」の難易度は?

リスト「ため息」は、ピアノの上級者向けの曲。流れるような伴奏を弾きながら、両手を交差させて旋律をなめらかに歌うところが難しい。
とはいえすごい難曲?というとそんなこともなく、最近では中学生のピアノコンクールの課題になったりもしていますね。
リストの「ため息」と同じくらいのレベルの作品は?
得意・不得意でも変わるけど、「ため息」と近いレベルの作品を挙げると、このあたり。
- ショパン「バラード 第3番」:バラードは音楽的に難しい
- ショパン「スケルツォ 第2番」:速いパッセージや跳躍に加え、長い曲をまとめる力も必要
- ショパン「革命のエチュード」:左手の速い動きと、力まず弾き続ける技術が必要
- リスト「軽やかさ」:細かな音を、題名どおり軽やかに弾くところが難しい
- リスト「愛の夢 第3番」:「ため息」よりやや取り組みやすい目安。旋律を歌いながら伴奏を控えめに弾く技術が必要
例えば、超絶技巧練習曲のような難曲より簡単だけど、かなり難しい曲であることは確かですね。
リスト「ため息」弾き方・練習のポイント【有料級】
実際にやってみて、効果のあったものを。
「こうやって練習したら上手くなる」というレベルの作品ではない印象です。
なので、
- 力を抜いて弾く(腕の重さを使って)
- よく自分の音を聴く
これだけ?というと、これだけ。
リストってピアノの天才だから、無理なく弾けば、弾けるようになっている作品だと思っています。
また「聴音」のように、自分の音を聴いてみると、すごく調子が良いです。
リストは音が多くて、しっかりと聴くのをおろそかにしがち。
そこをしっかり聴いてみることで、かなり上達するようなイメージです。
リスト「ため息」の楽語を解説
「ため息」に出てくる楽語と意味をまとめました。
わりと難しい楽語が出てくるので、楽譜に書いておくのもオススメです。
また重要なものに特化して、あまりにも有名な(crescendoクレッシェンド)などは省力しています。
-
- Allegro affettuoso → 速く、愛情を込めて
- armonioso → 調和のとれた美しい響きで
- legatissimo → 音をできる限りなめらかにつなげて
- poco agitato → 少し心を揺り動かすように
- cantando → 歌うように
- dolce con grazia → やさしく、優美に
- simile → 前と同じように
- sempre con ped. → 引き続きペダルを使って(必要に応じて踏み替える)
- sempre dolce grazioso → 常にやさしく、優美に
- appassionato → 情熱的に
- smorz.(smorzando)→ 音と勢いを、だんだん消えるように弱めて
- p subito → 急に弱く
- sopra → 上側で(ここでは、もう一方の手の上を通して弾く)
- affrettando → 急き込むように、だんだん速く
- agitato con passione → 激しく心を揺り動かすように、情熱を込めて
- più crescendo → さらに音を強めて
- quasi cadenza → カデンツァのように、自由な独奏の気分で
- con forza → 力強く
- colla due mani → 両手で
- impetuoso → 激しい勢いで
- marcato → 一音一音をはっきりと、際立たせて
- simile marc. ed arpegg. → 前と同じように、音を際立たせ、和音を分散して
- accelerando → だんだん速く
- Ped. vibrato → ペダルを細かく踏み替えて
- sotto voce → 声をひそめるように
- languendo → 力が抜けるように、ものうげに
- leggierissimo volante(leggieriss. volante)→ この上なく軽く、飛ぶように
- pochissimo → ほんのわずかに(ここでは、クレッシェンドをごく控えめに)
- velocissimo → 極めて速く
- Un poco più mosso → 少し、それまでより速く
- non legato → 音をつなげずに
- egualmente → 均等に、むらなく
- tre corde → ソフトペダルを戻して
- la melodia sempre marcato → 旋律を常にはっきりと際立たせて
- a tempo → 元の速さに戻して
- poco a poco rallentando → 少しずつ、だんだん遅く
- più lento → それまでより遅く
- quasi arpa → ハープのように
- Tranquillo → 穏やかに、落ち着いて
- dolce ed armonioso → やさしく、調和のとれた美しい響きで
- calando e smorzando → 速さと音量を落としながら、消え入るように
- segue → 続けて、次へ進む
- ad lib.(ad libitum)→ 奏者の自由に、任意で
リスト「ため息」で聴くべき名演6人のまとめ

「聴き比べ」はピアノの上達にすごく良いと思っています。
オススメはまずはこの6人。聴き比べも楽しいです。
すべて聴いてみてコメントしています。
クラウディオ・アラウ
チリ出身の20世紀の巨匠。ベートーヴェンやブラームスに加え、リストも得意としたピアニスト。リストの弟子だったマルティン・クラウゼに学んだことでも知られています。
すごく渋いリストのため息だと思います。味があって豊か。
ホルヘ・ボレット
キューバ出身のピアニストで、リスト弾きとして名高い20世紀の巨匠。リストの作品をまとめて聴きたい時にも、ぜひ候補に入れたい奏者。
このため息の定番的な演奏で、「悲しみ・軽やかさ」と続けて3つのエチュードを聴いてみると、すごく勉強になるような印象です。
ダニール・トリフォノフ
ロシア出身で、2011年のチャイコフスキー国際コンクールの優勝者。リストの練習曲を収めたアルバムで、グラミー賞も受賞しています。
大きなカラダで、音の豊かさもあって、独特の魅力を感じます。
スヴァトスラフ・リヒテル
20世紀最大の巨匠の一人。
リヒテルの名演の1つだと思います。
ものすごく大きく、芸術的な演奏。
ラン・ラン
中国出身で、世界的に知られるピアニスト。コンサートだけでなく、大きな式典への出演や音楽教育の活動でも知られています。
たまに目の覚める子守唄…のような演奏に思いました。
ヴァン・クライバーン
アメリカ出身で、1958年の第1回チャイコフスキー国際コンクールの優勝者。冷戦中のモスクワで優勝し、世界的な注目を集めたピアニスト。
個人的に一番のオススメはこのクライバーンの演奏。
リストは晩年、宗教家になっているけど、そういった方向の解釈の演奏だと思います。
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名演を聴く時の音質の良さは、上達にもすごく大事だと思っています。
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リスト「ため息」のオススメ楽譜3選

楽譜はどれでも同じ?というと、音の表記や運指、解説などに違いがあります。「ため息」を弾くなら、まずはこの3つが候補に。
ブダペスト版「3つの演奏会用練習曲」
リストの作品を学ぶなら、ぜひ候補に入れたいブダペスト版。自筆譜をもとに見直された新版が出ていて、作曲者の書いた音を丁寧に確認したい方におすすめ。
購入する時は、カチマルチク校訂の新版(商品番号:15071)を目印にするとわかりやすいですね。
ヘンレ版「3つの演奏会用練習曲」
原典版を選びたい方には、ヘンレ版も候補に。自筆譜などの資料を検討した校訂に加え、運指も付いています。
新版の商品番号は「HN 1573」。音の表記や運指を、ほかの版と比べながら練習したい時にも。
全音版「リスト 演奏会用練習曲集[原典版]」
運指やペダルなど、練習に役立つ助言もほしい方におすすめ。リスト自身の指示と、校訂者が加えたものを区別して書かれている点もいいですね。
「ため息」のほか、「軽やかさ」「森のざわめき」「小人の踊り」など、5曲を収録。ほかの演奏会用練習曲にも取り組みたい方には便利な一冊。
まとめ:リスト「ため息」の難易度・意味・オススメ楽譜・弾き方など
それでは最後にこの記事をサクッとまとめて。
- 1848年に完成。「3つの演奏会用練習曲」の第3曲
- 「Un sospiro」は、イタリア語で「ひとつのため息」という意味
- 難易度は上級者向け。両手の交差と、旋律をなめらかに歌う技術が必要
- 上達のポイントは「力を抜いて腕の力で」「よく自分の音を聴いて」
- オススメの名演は7人。歌い方や響きの違いを聴き比べるのも楽しい
- 楽譜はブダペスト版・ヘンレ版・全音版の3つが候補に
少しでも参考になれば幸いです。
最後までありがとうございました!